翼~開け放たれたドア~

「たぶん…な」

俺は、春輝へとまた顔を向けた。

と、そのとき

「え…」

春輝のまつげが、微かに震えた。

そして……。

ゆっくりと瞼があがって、あんなにも見たかった紺色の瞳が姿をあらわした。

嘘、みてぇだ……。

夢じゃねぇんだろうか。これこそ。

自分の目を疑うほどに、信じられなくて。

あれほど願っていたことなのに、いざ目の前でそれが叶うと、どうしてもそれを夢なんじゃないかと思ってしまう。

だけど、

「医者呼んでくる!春輝が…春輝が目を覚ましたって!」

直の珍しく慌てた声が、これが現実なんだってことを知らせてくれる。

ぼんやりと天井を見上げる春輝。

その目がふとこちらを向き、そして俺を捉えた。

『…く、うや………』

聞こえたわけじゃねぇ。

だけど、あいつの口が開口一番に、俺の名前をかたどったように見えたんだ──