そんなことを考えつつ、俺はさっきまで見ていた、あの水がはった地面がある空間での出来事を思い出していた。

……夢にしてはすげえ鮮明に思い出せるのが、すげぇ不思議でならねぇ。

なんだったんだ?確かに声を聞いた。あいつの感触を感じた。

でも……、カーテンが開いたドアの向こう──春輝は目を瞑ったまんま。

あの涙も、叫び声も、確かに本物だったと断言できるのに。

あれは夢だったのか、なんて疑問さえ浮かんできたけど…。

──本当に、か?

飛鳥のことだってそうだ。

夢にしてはリアルすぎねぇか?

俺は自分の手を見つめる。

あの柔らかな感触が蘇るようで、俺はそれをギュッと握りしめた。

「ん…」

その声にはっとして横を見れば、秋人がちょうど目を覚ましたところだった。

「あれ?俺……」

「……目ぇ覚めたか?」

不思議そうな顔の秋人に疑問を覚えたが、それは口にださずに、そう問いかける。

「あ、うん…」

秋人は俺をジッと見上げてくる。