翼~開け放たれたドア~

……飛鳥の声が、少しだけ震え始めた。

「俺、ずっと自分が嫌いだった。
でも、あの喧嘩のときだけは違った。
こいつらといたいって、ここなら俺を好きになれるかもって思った。
だから、みんなで幹部やれることになったときは嬉しかった。
でも、今度はお前が一人でなんでもするようになるし……」

ゆるゆるとその瞳が揺れていく。

「なんか一言でも言ってくれたら、なんだってする覚悟だったのに…、一人で抱えこみやがって…っ!
そんなに俺たちは頼れない奴らかよって……、ずっと不安だったんだからな……っ」

作られていた拳をそっとほどくと、飛鳥は俺の服をギュッと握りしめ、自分の身体を俺に押しつけた。

普段はこういう甘えることなんかしない飛鳥がそんなことをするから、俺は驚いてしまった。

「……ばかやろ…っ!
俺、そんなに役立たずかよ…っ」

「「「!!!」」」

その言葉で気づいてしまった。

俺の行動が、飛鳥の過去をもっとえぐることになっていたことに。

俺の服を握っていた手で再び拳をつくった飛鳥が、俺の胸を強い力で連続して叩いた。

「身体売ることくらいでしか金なんて作れなかった…っ!
それでもやっぱそんなんじゃ借金なんて返せねぇし、母さんには役立たずって言われて…。
だから必死で女抱いて金稼いだ……。
だんだんまとまった金が作れるようになったけど、決着は借金押しつけられて捨てられて…っ!
空夜のおかげで借金なくなっても、止めちまうのが怖くて……、女抱いて……。
虚しいだけだなんてわかってた…っ!
でも、でも……っ!!」

ドン、ドン、と。

俺の胸を叩く飛鳥の力が弱くなっていく。