翼~開け放たれたドア~

飛鳥…。

立ち尽くす俺に近づいてきた飛鳥は、その拳で俺の胸をトンと軽く小突いた。

「……俺、空夜と初めて会ったときにさ、なんだこいつって思ってた。
総長に連れてこられたっていうから、どんな奴かと思ってたらすげぇ怖かったんだ。
なんか、冷たかったんだよ。目も表情も。
まるで、なんか生きてんのに死んでるみてぇな感じ?」

んー…と首をひねりながら飛鳥は言葉を探す。

「俺もさ、自分の過去があるから人のこと言えねぇんだろうけど。
でも、お前はお前だろ?
過去に何があっても、それは結局は過去なんだよな。
だから、俺は今の空夜を知っていればそれでいい。
俺のなかの“空夜”はそれでいい!」

グッと、胸に添えられた拳の力が強くなる。

目を見開いた俺の顔を見上げ、飛鳥はニッと笑ってみせた。

「最初にお前と絡んだのは蓮だったなー。
いきなり空夜に喧嘩ふっかけるし。
それに気づいた俺と直が止めに入って、偶然通りかかった秋人も巻き添えにして皆でそのまんま喧嘩してさ」

「……チッ」

蓮が舌打ちするのが見えた。

こら、と直がその頭を軽く叩いた。

「でもあのときは楽しかった!
結局決着つかずに皆倒れて、お互い傷だらけでなー、なんかその状況がおかしくて、顔見合わせた途端に笑いが込み上げてきたんだぜ?
俺が最初に笑い始めて、最後は皆して笑いあった。
それからだよな?このメンバーで行動するようになったの」