翼~開け放たれたドア~

自分が強いと自惚れていたわけじゃねぇ。

だけど、強さというものを知らないわけでもないと思っていたから、そのときの俺にとっては衝撃的な言葉だった。

守るべきもののことなんて考えたことなかったし、守りたいと思えるものなんて、そんときの俺にはなかったんだ。

俺は、目の前にいたそいつのことを睨みつけたが、そいつはそんなのお構いなしに言葉を続けた。

“お前、なんかさ。明日地球が滅亡するって言われてもかまわねえみてぇな…、いつ死んでもどうでもいいって顔してんだよな”

“は…?”

いつ死んでも…?

そう俺は思ったけど、実際に考えてみれば確かにその通りだった。

俺、別に生きたいとは思えねぇ。

むしろ……

“何。あんたまだいたの?”

死にたい…んだろうか。俺は……。

わからねぇ。けど、特に生きる理由もなければ死ぬ理由もない。だからとりあえずここで生きている。

それが一番しっくりくる結論なのかもしれなかった。

唯一の肉親にさえ拒否られて、俺には、生きたいという欲なんて芽生えなかった。