翼~開け放たれたドア~

春輝の言ったことが、俺の原点になった出来事を思い出させた。






始めは、ただの好奇心だった。

眠れない夜に街をぶらついていたら、突然男の1人に怒鳴られ、ふっかけられた喧嘩。

反射的にその頬を殴り、その男はあっけなくぶっ飛びやがって気絶した。

そして逆上した、その男の連れの脇腹に回し蹴りをした。

結局、その男二人はその場に置いてきたけどな。気絶して動かなかったし。

でも、身体が勝手に動いたんだ。ほんとに自分でも驚いたな、あんときは。

喧嘩が終わったあとでも、心臓は高鳴り、身体中が熱かった。

“楽しい”なんて感情は、もしかしたらあのときが生まれて初めて感じたかもしんねぇな。

暴力が好きだったわけじゃねぇ。

だけど、その喧嘩が純粋に楽しいと感じたのは確かで、俺はその日から夜にその街をぶらつくようになった。

売られた喧嘩を買って、犯されそうになってる女を助けるために喧嘩して……。

自分から喧嘩を売ることは、理由がない限りしなかったけど、それでも俺はだんだんと有名になっていった。

そんなときだった。王覇の存在を知ったのは。

不動の全国NO.1。

俺はそんなの興味なかったけど、そんな俺に転機が訪れることになるのは、あんま遠くない話だった。