その指が指す方向へと身体を向ければ、自分の足下で、地面にはった水が音をたてた。

そこには飛鳥と、直と、秋人と、蓮がいて……。

全員、悲しげな表情で俺を見つめている。

「空夜は、皆を置いていくの?」

「違う。俺は──」

「何が違うの。
さっきだって、空夜は1人でこっちに来ようとしたでしょ」

ピシャリと言い返され、俺は口を閉ざした。

図星をつかれ、何も言えなくなる。

…確かに、俺は1人で春輝を守ろうとしてる。勝手に強くなろうとしている。

だけど、俺は皆を置いていこうとしてるわけじゃねえんだ。

そんなつもりなんて全然ねぇのに……。

「……空夜。
私、今の空夜のためには生きていたくない」

そんな春輝の言葉に、俺は茫然とした。

驚いて振り返ると、そこには俺を冷たく見つめる春輝。

何も言えずにいる俺をただ見据え、そしてその口を開く。

「空夜は、大事なこと忘れてる。
なんで皆がここにいるか、なんで空夜は弱いのか……。そんな大事なことを忘れてるよ」

大事な、こと…。

なんでこいつらは……なんで俺は……。

「どうして直たちと出会ったの。どうして1人で抱え込むの。
周りをもっと見て。大事なものはそこにもあるよ」