だけど、夜の闇が何もかもを覆い隠すから、何にも見えねぇんだよ──

「……っ!春輝…っ」

何度もそう呟いたけど、あいつからの返事があるわけもなかった。

春輝…、何でだよ…。

何でお前ばっかがこんなに苦しまなくちゃいけねぇんだ…?

教えてくれよ…。

すすり泣きの音が廊下に木霊する。

医者は気まずそうに目を伏せ、逃げるようにその場を立ち去った──