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「行っちゃったか…」

小さな楽園に残された美しき天使は、楽園を飛び立った自分の娘が行った方角を見やり、ポツリと呟く。

その瞳は涙で濡れているのに、どこか清々しい声をしているのはどうしてだろう……なんてことは

「さすが私と………、勇輝ユウキとの娘だわ」

空を愛おしそうに見つめる彼女の表情からすぐに分かる。

「ふふふ…。
勇輝そっくりの瞳であんな風に言われちゃったら応援するしかないじゃない。
あの子も大きくなったわねぇ…」

バサリ、と翼を大きく揺らし、天使は寂しそうに、でも……それに満足しているように笑う。

だが、天使はふと、自らが身につけているワンピースを翻して、楽園の中心へと向かった。

一見、何の変哲もないその場所で、天使は空を見上げると、おもむろに翼を大きく広げるとそのまま空中へと飛び立つ。

ビュウッと風をきりながら天使が向かう先には、光に反射されてキラリと輝く何かが、重力に逆らうようにそこにふわりと浮いている。

言うなれば、その正体は鳥籠。

それは小さな小さな、パンドラの箱のようなもの。