とっさに、身体が動いた。

──グイッ

「なっ!?」

啓悟お兄ちゃんの手を思い切り引っ張り、そのまま自分の後ろへといざなうと、その大きな身体を抱きしめる。

白い髪がひらりと宙を舞った。

その直後、

──ダァーンッ!!

大きな乾いたその音とともに、背中に走った痛みに顔が歪む。

「……い…っ!は、はぁ……あ…」

まるで、その部分が焼けてるようなビリビリとした痛み。

呼吸が一瞬、上手くできなかった。

だけど、それでも。

啓悟お兄ちゃんから身体を離すと、振り返って走り出す。

目を見開き驚いているその人に、素早く回し蹴りをくらわせると、ふらついたその身体の鳩尾に拳をねじ込む。

「ぐあ…っ!!?」

カシャーン!と、拳銃が部屋の隅っこまで飛んでいった。

渇いたようなその掠れた声の持ち主は、ぐらりと身体を傾かせると、床にそのまま崩れ落ちていく。

「お、わりだよ……ぜん、ぶ…。
赤城組、組長さ、ん………」

床に転がるその人は紛れもなく、赤城組組長。

「なっ…!お祖父様…!?」

啓悟お兄ちゃんの驚きの声が後ろから聞こえた。