──ドクンッ!

…また、だ。

心臓が掴まれるみたいにギュッとなって、なのにもっとほしい。そんな、この前も感じた感覚。

よくわからない感情が心を支配し、そして満たしていく。

じわりと胸が熱くなって、身体中にそれが浸透していくようだ。

大好きだなぁ…なんてふと思ってしまう。

そんなことを思ったら、さらに心臓の音が大きくなって。

するとドクドクと、耳の奥にまで大きく、心臓の音が響いていくから、

「理由…これならあるだろ?」

目の前で、優しく目を細めて私を見つめる空夜の声しか聞こえないよ。

鼓膜を震わすその低い声が心地よい。

ぼやける視界が頼りないけど、空夜が側にいることを実感できる。

もっと…もっと。

そんな、欲張りな感情に身を任せ、今でさえあまりない距離をつめようと、一歩踏み出そうとしたときだった。