段々と近づいてくる音にふと横を見上げれば、赤城啓悟は険しい顔をしていて。

たぶん、思ってたよりもずっと強いあいつらに驚いてるんじゃないかな。

この赤城組だって全国レベルだけど、神崎組はその上のトップクラスの組だ。

それに、全国NO.1の王覇もついてる。

いくら卑怯な手を使おうが、その差は圧倒的。

「……チッ」

赤城啓悟は舌打ちをうつと、私に後ろに来るように言った。

私は黙ってそれに従う。

大きな背中に隠れて、襖(ふすま)の向こう…といっても襖閉じてるけど……、まぁ、そっちのほうは見えなくなってしまった。

当初よりもだいぶ、呻き声や音が大きくなっていた。

それは、赤城組の中心である部屋に、空夜たちが近づいてきていることを意味していた。

呻き声が多いのは、中心に近づけば近づくほどに警備が強いから。

まぁつまり、こちらの人が多いってことだ。