──ヴォンヴォンヴォン!!

たくさんのバイクの爆音。

──ブロロロロロ…

たくさんの車の騒音。

それらの音が混ぜ合わさって、私の心をかき乱す。

「さぁ、パーティーですよ?」

ニヤニヤしている隣の男に私はただ静かに視線を向けるだけ。

時刻は一時。

この、組長部屋へと続く大きな部屋のなかで、私と赤城啓悟は約束の時刻をむかえることになった。

戦いの火蓋は、見えないところで静かに切って落とされる。

私は、空夜たちが作り出す音に、目を閉じて耳を傾けていた。

徐々に、その音に人の呻き声や、金属音が混じっていく。

たぶん、金属音が聞こえるのは、赤城組のほうが鉄パイプだのナイフだのを使っているからだろう。

いつもなら止めにはいってるけど、今は違う。

空夜たちなら大丈夫だろうし、何より、私が今動いたら台無しになる。

空夜たちの傷を最小限にして追い出すことが優先なんだ。

私がここで空夜たちのために動いてしまったら、赤城組は間違いなくこの抗争が終わったあとも、神崎組と王覇を狙うだろうから。