次の日の朝は、なんともいえない虚脱感と諦めが入り混じった、不思議な感覚のなかで目覚めた。

……きちゃった…か。

私はベッドからゆっくりと起き上がる。

空っぽの“無”の部屋が目の前に広がっていた。

また、戻ってきた。

そんな風に思ってしまう。

私から望んだことなのにな。

私は心の中で自分を笑ってみせると、のそりとベッドから這い出て、準備を始めた。

……もちろん、wingの恰好。

雷の家から持ち込んだ、数少ない私の荷物。

着替える途中、ふとパーカーの背中の模様が目に入る。

……なんだか無償に抱きしめてほしくなったのはどうしてだろう?

思い出される、なぜか懐かしく感じられるあの心地よさに、会いたくなったんだ。

もう、そんなことは赦されないことは分かってるのにね。

ねぇ、そうでしょう?

──空夜…。