目を瞑って、その決心を思い出す。

うん、大丈夫だよ。

傷つくのは…私1人で十分だ。

そんなことを考えてなにも言わない私に、赤城啓悟はつまらなさそうに見下す。

「……そんな風にしてられるのは今のうちです。
今日がなんの日か…分かってますね?」

「………」

私は無言で小さく頷く。

「君にもでてもらいますよ。
さすがに組と族…それも全国レベルの人たちとなると厳しいですからね」

冷たい視線が突き刺さる。

「wingとして、そこに立ちなさい」

今の私にとって、これほど残酷なことはないに違いない。

こいつはつまり、私にも闘えと言っているんだ。

もちろん、あそこにいた“篠原春輝”ではなく、“wing”として。

でもそれは、空夜たちに過去を話したときに決心したことだ。

なのに……どうして今更躊躇っちゃうの?

それに、大好きなあの人たちをこの手にかけるだなんて……。

でも、そうでもしないと、それ以上に皆が傷つくというのなら私は闘う。

たとえ、恨まれたとしても。