赤城組を抜け出してからしばらくたって、なんとなく1人で外にでたときだった。

「……wing様」

「……っ!?」

突然かけられた言葉に、後ろを振り返る。

気配をあまり感じなかった……。

まさか、私がwingだってことを知っているとも、私に声をかけてくるとも思ってなかったから、私は驚いてしまった。

そこにいたのは、あの日私に警告をした男。

「……お前…」

「お久しぶり…ですね」

ニコリと笑みを浮かべるこいつが怖い。

まるで…まるで……、あのときの警告のように、私に選択を迫ってくるようだったから。

“wingを止めるおつもりですか?
そんなことを、あの篠原シゲルも、こちらの組長と若も赦すわけがないでしょう?
……そこから、出られるとお思いで?
無駄だとわかっているなら、自分の罪を償うべきですよ。
その髪と瞳が何よりもの罪の証拠。
ここまで言えば、賢いあなたなら理解できますよね?自分がなにをすべきか、なんて…。
……我が主(あるじ)からの伝言です。
どうするかはあなた次第ですよ、wing”

雷の家にきて、そんなことを言ったこいつ。

あのときが最初だった。

といってもあのときは、夜寝たときに魘されていただけだから、気を失うことはなかったけど…。

「……連れ戻しにきたのか?」

無意識のうちに男口調になる。

「……また、伝言をしに参りました」