組んでいる腕の力を強くし、握りしめる。

自分を抱きしめるように。

飛鳥たちのおしゃべりも、直の俺を気遣う声も遠く感じる。

俯いて目を瞑り、嫌な考えから俺は逃げた。






…俺はバカだな。

逃げちゃいけねぇことから逃げちまったんだ。

だけど、そうでもしねぇと、俺がなんだか壊れちまいそうだったんだ。

ごめんな、春輝。

俺はやっぱり、あんときの弱い俺のまんま。

捨てきれない過去と今がシンクロして見えてくる。

手放したくない。だから、動けない。

俺は…このまんま明日赤城組に行くのか?

もし行くとしても……、春輝は…それまでに帰ってくんのか?

あいつの荷物、なくなってたんだろ?

お前は…何を考えている?

なぁ、教えてくれよ……。

春輝。

……お前に、会いてえよ…。

~空夜 side end~