それになんとなくホッとして、私は小さく息をはく。

──大丈夫。大丈夫。

そう、自分に言い聞かせながら。

この温かな優しい場所を。

この、誰かを助けられる、大事な人たちを。

傷つけちゃいけないよ、私。

守らなきゃ。

もう、失わないように──

「春輝…」

「……ん?」

「どこにも、行かねえよな?」

「……ん」

小さく、小さく、返事を返す。

嘘はつきたくなかったけど、私は嘘をはいたんだ。

…できるなら、私だってそうしたかったよ。

ずっと、ここにいたいよ。

縋るように空夜の首に手を回し、抱きつく。

空夜はソファーに座り直すと、私をきつく抱きしめ返してくれた。




いつの間にか瞑っていた目をそっと開ける。

私は今、たぶんだけど、とても冷めた目をしている。

私は、この人たちを守るために

──wingとしてあの場所に行き、wingとして生きることを選んだ。





窓からのぞく外の景色は白。

吹雪く雪が、窓からのぞく景色さえかき消していく。

それはきっと、あの大きな空さえも……。

だから、私の目の前の未来さえ、暗くて見えないんだよ。

ねぇ、誰か教えてよ。

やっぱり私には、生きる意味がわからない。

人を傷つけることしかできない私は、生まれた意味があるんだろうか。