翼~開け放たれたドア~

いつもとは違う、小さな少女のような感じで、おどおどとしゃべる春輝。

だけど、その真剣さを含む声音に、

「…いいのか?」

そう、念をおす。

「…うん。
もう、逃げたくないから」

話すよ、と春輝は頷いた。

記憶をなくすほどに拒絶していた過去を、俺らに話してくれるなんて…。

俺は胸が熱くなって、春輝を抱きしめる腕に力を込める。

「無理、すんじゃねぇぞ?」

「…ん」

大丈夫、と春輝は囁くように言うと、そのあと

「……ありがと」

俺にだけに聞こえるように耳元でしゃべった。

~空夜 side end~