特になにも悪いこともなく、かといって赤城組がなんか動いているという情報もない。

平和なのはいいことだ。だが…。

赤城組がこのまんまで終わらすわけがねぇんだ。

雷さんは、予定してた日に攻めることは変更しないと言った。

いつかはやらなきゃならねぇことだから、協力してほしい、と。

俺らはそれを承諾した。

どちらにしろ、こいつを取り戻しにくるだろうと思って、俺らだけでも行くつもりだったから。

カラン、コロンと、口の中でアメを舐めて口をモゴモゴさせている春輝を横から腰に手を回して抱きしめる。

「…?」

不思議そうに首を傾げたが、されるがままになっている。

「あらら…、春輝ってば、捕まっちゃったね」

飛鳥がおかしそうに笑う。

ますます不思議だ、とでもいうように首を傾げると、春輝は俺を見上げてきょとんとする。

相変わらずウィッグはしてるし、カラコンもしているが、俺らの前では、パーカーのフードを被らなくなった。