──ギュッ

「春輝…?」

突然俺に抱きついてきた目の前の存在に目を見開く。

しがみついて離そうとしない春輝に微笑んでから、そっと頭を撫でてやる。

「どうした?なんかあったか?」

優しく声をかけると、フルフルと首を振る。

それにホッとして、「…そうか」と言ってから俺は春輝をそっと膝の上に載せた。

大人しく、そのまんま春輝はそこに座っている。

肩越しに見てくるそいつの目の前に、雷さんや龍也さんにもらった棒つきの白いアメを見せてみる。

ジーっとそれを、目を輝かせ見つめるそいつにアメを差し出すと。

恐る恐るといった様子でアメを受け取る。

ペロペロとそれを小さなピンク色の舌で舐めて楽しんでから。

ハムッとそれを口に含んで、春輝はわずかに頬を緩ませる。

…なんか、直たちが言ってたみてえに小動物みてぇだな。

そんな春輝を、みんな穏やかな顔をして見つめていて。

ようやく、こいつが戻ってきたんだと実感するここ2、3日。

俺らは学校へ行くことなく、普通に倉庫で好き勝手してた。