そんなのは、あいつの姿を見た次の瞬間には吹き飛ぶことなんて、このときの俺はまだ知らなくて。

それでも、思い浮かんでは消えるあいつの後ろ姿を確かなものにしたくて。

走った先にいたのは、他の誰よりも会いたかったあいつ。

そして

「てめぇ…、こいつに何しやがった?」

緑華の幹部だと思われる男3人。

緑色の髪色をした男に抱きかかえられている春輝はぐったりとして動かない。

思わずでたいつもより何倍も低い声に、男たちは顔を真っ青にさせ、

「ま、待て待て待て!
俺たちはこいつに何もしてねぇ!!」

そう、大きな声で言った。

下っ端たちのざわめきは大きくなるばかりだったが、俺にはそんなこと関係なかった。

「あ゙?じゃあなんでそんなに具合悪そうにしてんだよ?」

緑頭はばつが悪そうに春輝に視線を向け、口を開いた、が。

「お、おい…wing?」

その口からでたのはそんな声。

男から春輝に視線を移すと、あれほど見たかった紺色の瞳がゆらゆらと揺れながら男に向けられていた。