「え、ちょっ、直!?」

「飛鳥、うるさいよ?」

振り返った直が、不気味なほどに綺麗な笑みを浮かべ、飛鳥を黙らせた。

「で、雅人。どうしたの?」

ドアの向こうの雅人は、かなり慌ててるみてぇで、この部屋にいる、俺を含めた全員の顔つきが変わった。

「そ、それが…。
なんか、緑華の奴らがきていまして…」

緑華?

春輝が更正させたとこだったよな。確か…。

そんなとこがここに?

「それで?」

直が先を促す。

その言葉を聞いた瞬間

「空夜!!?」

誰かの声を背にして、俺は幹部室を飛び出して、踊場からそのまんま下へと飛び降りていた。




下へ降りる前から、俺の思考はあいつでいっぱいで、心臓がドクドクと大きく高鳴っていた。

“緑華の総長がwingを抱きかかえて、“相澤空夜を出せ”って…!”

あいつがいるのか?

会いたくて、声が聞きたくて、抱きしめたくて仕方なかったあいつが…。

そんなことで埋め尽くされた頭をなんとか働かせていたけど。