木から塀に飛び移り、そのまま道路へと出た私は、とりあえずその場を離れようと歩いていた。

さっきの芝生と違って、小さい小石な何かの破片が地味に足の裏に刺さって痛い。

痛む足の裏から、時々それらを手で払いながらも、私は歩き続けた。

走るほどの元気なんてなかった。

ぼんやりとする頭と視界。

そして、この上なくだるい身体。

それなのに走るなんて無理だった。

だけど、あそこにはいたくなくて──




どれくらい歩き続けたんだろう。

なんとなく見覚えのある建物が目に入り、私はどこでみたんだっけ…と記憶の糸をたぐる。

だけど、思考がうまく回らない頭のなかでは、全然思い出せなくて。

フラフラと、私はその建物の近くへと歩いていく。

「──だからさー……」

「そうそう!それでよ──」

人の話し声が聞こえる。