父上もあいつを選んだ。

お祖父様も。赤城組も…。

だったら、どうせならあいつを壊してしまえばいい。

どうやっても、手に入らないというなら。

「…無理やりにでも……」

俺はニヤリと笑った。

床に転がる、気絶した男の腹を蹴る。

ピクリとも動かないことをいいことに、気が済むまで蹴り続けた。

「閉じ込めておくなら、いっそ羽をもいでしまいましょうか…」

できもしないことを口にする。

それをお祖父様は許さないから。

俺は疲れて蹴るのを止めた。

「連れてけ」

「はい」

いつからいたともわからない男に命じる。

「一週間…。
それくらいなら、籠のなかでも自由を与えてやりましょうか」

まぁ、俺はそんなに気長な男じゃないからそんなに待てないけど。

だいたい、それくらいならいいだろう。