~啓悟 side~

あいつが、憎い。

父上の愛を受けてたあいつが。

若頭として必要とされるあいつが…。

「すいません!若!
wingが部屋を逃げ出しました…っ!!」

だから、どうしても許せなくて。

「…そう、ですか」

ポツリと呟いて、俺はそいつの顔を思いっきり殴った。

「ぐあっ…!!」

うめき声に笑みが浮かぶ。

そいつが気絶するまで殴り続け、気絶する頃には顔面は変形し、元の原型がわからなくなっていた。

「…弱いですねぇ」

こんなにも、強くなったというのに。

あいつには到底及ばないと。

俺よりもあいつがいいと、お祖父様(おじいさま)は言う。

俺がずっとここにいるのに、あいつのほうが必要となれるなんて。

「…許さない」