翼~開け放たれたドア~

とりあえず登りきった私。

すると、

「おいっ!こっちだ!!」

男の人が何人か、私がいる木の下を通っていった。

「くそっ!いねぇぞ!」

「このまんまじゃあ若に殺されちまう…!!」

「なんとしてでも探し出せ!
敷地内にいるはずだ!」

…ま、確かに敷地内ですけどね。

私は身を潜め、男たちがいなくなるのを待っていた。

「とりあえず、ここらへんにはいなさそうだな…」

「あっちのほうかもしんねぇ。行くぞ!」

バタバタと忙しそうに、とりあえず男たちが向かう方向にはいない私を探して、男たちは走っていった。

…“殺される”なんて、物騒な若頭だな。

このときの私は、ボーッとする頭が働かなくて。

だから、その若頭が誰なのかを思い出せないでいた。

私にとってその人は、あの人と同じくらいに“恐怖”と対象だというのに…。

なのに、忘れてしまっていたんだ。