“さすがだ。雷君。
神崎組の若頭だけはある”

あの人はそう、言ったんだ。

“…知ってたんだな。俺が神崎組だってこと”

“君の両親の顔はほとんど公開されてないだろうけどな。
私の組ほどにもなれば、調べることはどうってことない”

俺の親父たちの顔は非公開に近い。

よっぽどなことがない限り、会合にも顔をださないくらいだ。

まぁ、神崎組は個人も強いから特に問題もなかったけど。

“…ごちゃごちゃうるせえよ。
もう、お前ら篠原組は終わりだ”

気がつけば相手は組長と幹部のみ。

勝敗はもう目に見えていた。

だけど、あの人はニヤリと笑うと俺に近づいてきたんだ。

その笑みにゾクリとして、身体が動かなくて、俺はその場に突っ立っていた。

そのまんま俺の横に立つと、あの人はボソリと言った。

“──君はお兄さんによく似ているね”