ま、それだけならまだ良かったんだがな。

あの人は俺にまた命令をしたんだ。

“赤城組との架け橋をしろ”と。

俺は驚いた。

篠原組と赤城組は仲が悪い。

だから春輝の親だって駆け落ちしたくらいに。

なのにどうしてかと思ったら説明してくれたんだよ。ご丁寧にな。

なんでも赤城組に、篠原組に何かあった場合は春輝を譲るからこっちに協力しろと言ったら承諾してくれたらしく、そのもしもの時に俺に春輝のことを頼みたいと。

悪趣味だよなぁ。

敵までそれで操っちまうんだから。

春輝の、wingとしての強さを知っていた赤城組は、春輝を欲しがっていたからな。

まぁそのもしもがあったとしても、そのときの俺は、春輝を赤城組に引き渡すつもりもなければ、とうするつもりもなかった。

なんたって、篠原組の若頭だからな。

俺にとっちゃ敵だったし、おかしいと思うことはあったけど、wingの噂が噂だしな。

俺もこの目で見てきたし。