~空夜 side~

「…篠原…いや、赤城春輝を捕獲しました」

「おいっ!待て!!」

春輝を抱えた謎の男は、俺の声を無視して車のドアを開ける。

「止めろぉっ!!春輝を連れて行くな!!
頼むから!!!」

「雷!落ち着け!!」

雷さん…?

なんだ?あの慌てようは。

焦るのは確かにわかる。

だけど…、それだけじゃねぇ感じがする。

「おや、雷さんではないですか。
そんなこと言ってもいいんですか?」

「そ、れは…!」

知り合いなのか?

春輝を拉致しようとしてる奴と。

「裏切ったのはそちらでしょう?
だとしたらこちらも強硬手段を使うまでです」

裏切った?何の話を…

「…あんときの俺は、確かに春輝にひでえことしてた……」

雷さんは拳を握りしめた。

「でも!守るって決めたんだ!
お前らの言いなりにはもうならねぇ!!!」

雷さんは男に向かってほえた。

だけど男はそれにも動じず、ニタリと笑う。