雨が私を叩く。

目の前が滲んで、雨に遮られて、息ができなくて、なのに足だけは動いて。

脳裏に揺らめく白い髪だけが、私の心を震わせた。

「お母さん…っ」






そのとき、目の前に突然黒い何かが現れて、思いきりぶつかる。

「見ぃつけた」

楽しそうな口調が聞こえた。

すると、止まった私に何かが伸びてきて、口に布のようなものがあてられた。

「……っ!!」

ツンとするような匂いがして、まずい、と思ったときには遅かった。

「…篠原…いや、赤城春輝を捕獲しました」

そんな声を最後に、私の意識は暗闇のなかに沈んでいった。