だけど、そんなの全然だった。

押し込んでも溢れ出す。

気持ちに蓋をしても、殺そうとしても、心はそれを許してくれなくて。

「ははっ…はははははっ…」

全部、全部。

──壊れてしまえばいいのに。





もとからおかしかったんだ。

私が生まれてきた時点で狂ってたんだ。

望まれもしなかった命。

叫ばれる罵倒。

虚しいだけの暴力。

だったら、私が死んでしまえば。

「全てが、終わる」

彼らに背を向け、走り出す。

「「春輝っ!!」」

「春輝さんっ!」

後ろから声が聞こえた気がしたけど振り返りはしなかった。