翼~開け放たれたドア~

俺は無我夢中で走った。

雨で身体がびしょ濡れになっても。

道行く人がざわめいてても。

それよりも、春輝のことのほうがよっぽど大事だ。

「おいっ!wing見なかったか!?」

そんなことを訪ねてまわり、街を走り回っていると、怯えた顔をした男が1人、俺の横を走り去ろうとした。

俺はそいつの肩を掴み、幾度なく繰り返した質問を男に訊ねた。

「あ、ああ…あっちのほうで…!」

ガタガタと震えて、走ってきたほうを指差す。

俺はその方向に走っていく。

雨の音と感触が、俺の思考を狂わす。

春輝…、春輝…っ!






走り出してすぐに異変に気づいた。

雨の水に、ところどころ赤い…血が混じっている。

それはだんだんと色濃くなっていき、俺の心臓は嫌なほどに大きな音をたてる。

──ドクン

──ドクン

──ドクン…