翼~開け放たれたドア~

あいつが…wing…?

確かに思い当たる節はあった。

暴走したときのあの強さ。

放つ殺気の威圧感。

俺らを前にしても物怖じしなかったあの態度。

だけど、あいつは──。

「それともう1つ」

直は追い討ちをかけるように呟いた。

「あの子とwingの目が同じ…闇を抱えている暗い目だった」

ふっと脳裏をよぎったのは、あいつの暴走したときの真っ黒な闇の目。

何もかもを拒絶した何も映さない瞳からは、大粒の涙が零れ落ちていく。

……そんなあいつの姿なんて、見たこともねぇのにな。

浮かんできたんだ。どうしてかはわかんねぇけど。

「…雷さんなら、知ってるかもしれねぇ。あいつの居場所を」

俺は理事長室のほうへと足を向けた。

「あいつ…きっと泣いてる。……会わねぇと」

あいつが、呼んでる気がするんだ。

「…それが答えなんだね?」

直の問いかけに

「…当たり前だ。手放したりなんかしねぇ」

自分でも驚くほど、揺るぎなく答えられた。

俺は理事長室へと走り出した。