屋上を飛び出し走り出す。

「……お母さん…っ」

あの真っ白な髪が脳裏に蘇った。

違う。

寂しくなんかないよ。

だけど、だけど…!

じゃあこんなにも胸が締め付けられるのは、どうして?

私は…私は…

「違う!」

これが、この感情が“寂しい”だと言うのなら。

「いらない……っ!」

私にはいらない。



“──の子供ごときに”

“この恥さらしが!”




──ズキン

あぁ…、やっぱり…。

──“私”を必要とする人なんていない。

玄関から外へでると、雨が激しく降り出していた。

「ああぁぁあああ!!!」

雨が私を打ち叩くなか、私の叫び声が響き渡った。