「……親、か」

私は屋上で1人、朝早く来て空を見上げていた。

私は親を覚えていない。

どんなふうだったか、どんな人だったか。

お母さんも、お父さんも

「どんなだったっけ……」

ふと顔を上げてみる。

空は曇っていて、薄暗い。

脈略もなく、直が昨日昔話をしたときの、直の
表情が浮かんだ。

…直たち、話をしたかな。

和解できてたらいいなぁ。





しばらく空を眺めていた。

すると後ろから、屋上の扉が開く、鈍い音が聞こえてきた。

「…早いね」

私は背を向けたまま呟いた。

「お前だって早いだろ」

「ま、それもそうか。おはよ、空夜」

屋上に来たのは空夜だった。

「…はよ」

それだけ言って、空夜は私の隣に来て座る。

私も、その場に座ることにした。