「…wingに言われたんだ。
“あなたの息子は、実の父親も許さないほど優しくないんですか。俺はそうは思えない”ってな」

直は驚いた。

自分とwingは接点がほとんどない。

なのに、そんなことが言えるのか。

直は思いきって聞いてみることにした。

「父さん、でも俺…、wingに会ったこともないのに」

すると今度は父のほうが首を傾げる。

「お前に世話になってると聞いたぞ?」

直は首を振った。

そんなことはない。

あるとすれば……

「春輝という子なら最近、一緒にいるけどな」

「おお、それだよ。2人の男は、wingを春輝と呼んでいた」

「え?」

父の言葉に直は、頭を殴られたような衝撃を受けた。

「春輝が…wing…?」

直は信じれないと言った表情で、ただ薄ぼんやりと父の話を聞いていた。