「お前は自分の子供を道具だとでも思ってるのか?」

「わ、私はべつに…」

「跡取りだからなんだ?
直がそれに苦しんでることも知らないくせに。
あいつがいつも笑ってる理由も、本当は悲しんでいることも、何も!何も知らないくせに!」

初めて見せる春輝の怒りの叫び。

それに、直の父親だけでなく、雷と龍也も驚いていた。

春輝は突如立ち上がり、直の父親の胸倉を掴んで、叫んだ。

「どうして直自身を見てやらない!
あいつが助けを求めているのにどうして気づいてやれない!
跡取りとしてじゃない!
1人の“品川直”として見ろよ!!
それでもお前は父親か!?」

「春輝、落ち着け!」

「春輝さん!」

雷と龍也が止めに入る。

腕を掴まれ、雷と龍也が名を読んでも、春輝の怒りはおさまらなかった。

「……っ!!
どうして、“生まれ”によって縛られなきゃいけない……!?」