「王覇に入っているんですよね?」

「え、はい。まぁ…。
でも辞めさせるつもりなんですよ」

狼狽えるように声を発する彼の目は、明らかに怯えている。

「それはなぜ?」

春輝が初めて口を開いた。

強いほどの眼差しに、直の父親は思わず身体を震わせた。

「そ、れは…後継者が息子に決まったからですよ。
いつまでも遊んでるわけにはいかないでしょう?」

「遊ぶ?」

春輝はピクリと肩を跳ねさせた。

「そうですよ。暴走族だかなんだか知りませんがね、そんなことに時間を割いている暇があったら勉強するべきですよ。
それぐらいするべきなんです。息子なんだから」

先ほどの怯えが嘘のように話を語る彼。

「あいつは跡取りなんです。
黙って言うことを聞いてここを継いでくれればそれでいい」

ニヤリと笑う彼の姿は、春輝にあの人の姿を連想させた。

「…ざけるな」

「え?」

「ふざけるな」

一気に空気がピンと張り詰め、殺気があたりに立ち込める。

春輝の顔は怒りに満ちており、直の父親は息を呑んだ。