「あれ、春輝?」

聞き慣れた声に足を止めた。

声のしたほうを見ればそこにいたのは

「直?」

「春輝、おはよう。って言ってももうお昼だけどね」

クスッと直は笑った。

だけど、私はおかしいと思った。

なんだか脆い笑い方だったから。

直の作り笑いを指摘してからも時々見えた作り笑いよりも、もっともっと。

いつもと違う笑い方をする直に、私はどうしたらいいのかと迷った。

言ってもいいのかな。

…でも。

「直、何かあった?」

ここで何も言わなかったら、ダメな気がした。

「春輝?いきなりどうし──」

「直、笑えてないよ。なんで笑おうとするの」

直の言葉を遮った。

ジッと目を逸らさずに、直を見つめる。

徐々に距離をつめていき、

──ギュウッ

「え、は、るき…?」