ありがたく1つを手にとって口に運ぶ。

雷が作るちょうどいい塩加減で、私は好き。

他は全然ダメだけど。

この間なんて、電子レンジでゆで卵作ろうとしてた。

案の定、爆発してたけど。うん。

部屋に避難してて良かった。

雷は真っ黒くなってたな。

そんなことを思い出しながら、1つを食べ終わり、もう1つはラップにくるんでバッグへと放り投げた。

「さ、行こ」

玄関へと移動して靴を無造作に履き、トントンと地面につま先を叩く。

フードもしっかりと被って、扉のドアノブへと手をかけた。

振り返っても、誰もいないことなんてわかっているのに。

それでも、それがとても悲しいと感じてしまうのは、どうしてなんだろう?