「……天使がいたの…」

春輝はポツリと呟いた。

「あとはあまり覚えてないけど…、最後にね、空夜が見えたよ」

「は?俺?」

「ん」

コクリと、春輝は小さく頷いた。

「…ふっ、そうか」

俺はなんだか胸が熱くなって、思わず笑っていた。





“…お、かぁさ………”

あいつのあの言葉。

確かにずっと引っかかってた。

雷さんと住んでいると言っていたが、そしたら親はどうしたんだろうと思ってはいた。

春輝、お前は…。

起きたとき、寝言で母親を呼んでいたのに何も悲しそうにしたりしなかった。

寝言で呼ぶほどなのに、泣いちまうほどなのに、何も知らないような顔してた。

お前は、何を思っている?