翼~開け放たれたドア~

「雷…っ」

今にも泣きそうな春輝がそこにいるから。

「何…?好きって何…っ?」

俺の服を握りしめ、悲痛に声を漏らす。

「分かんない…分かんないよ…!」

俺は胸が苦しくなった。

“好き”なんて言葉さえ、簡単に口にだそうとしない春輝。

…いや、春輝にとって、“好き”という言葉は一番難しいのかもしれない。

それに、こんなにも苦しんでいるんだから。

「春輝…大丈夫だ。ゆっくり話せ」

「春輝さん、落ち着いてください」

さとすように、言い聞かせるように、春輝に話す。

俺を見上げた春輝の黒い瞳が揺らめいて見えて、思わず息を呑んだ。

「私ね…っ、wingのこと聞かれたときにね、“好き”って答えた…。
分かんないのに、好きが分かんないのに、なんでかそう答えた…っ!」

「…は、るき……」

「春輝さん…」

「や、だ、やだ…っ!また…失うの…?」

…“また”?…“失う”?

「春輝、お前何を…」

「いやぁ……っ!……か、さ…」

「春輝さん!?」

「……お、……さ…ん」

「おいっ!」