翼~開け放たれたドア~

「前までは容赦なく潰してたんだけどな。
今じゃ解散させて、そのまんま正統派になる族まででてきてる」

秋人も頷く。

空夜だけは何も言わずに目を瞑っていた。

聞いてるのかな。この話。

少し吹いた屋上の風に、空夜の黒髪がふわりと揺れた。

「でもさあ、前までは正統派の族も潰すこともあったのになー。ほら、水風スイフウとかさ」

「あれでしょ?5年前の水風壊滅事件。
全国No.3だった族が一夜にして潰されたっていう。あれからだよね、正統派の族からもwingが恐れられるようになったのは」

「なんで水風潰したんだろうな。あんときはマジで驚いた。王覇(こっち)とも同盟組んでたのにな…」

ズキンと胸が痛んだ。

あの人の命令だから、仕方なかったんだよ。

水風の総長の強い瞳は、私を少しひるませたけど…潰した。

あの頃はどんなに潰しても何も感じなかった。

でも、あの時だけは少しだけ戸惑った。