翼~開け放たれたドア~

「絶望ってのはな、そんなもんじゃない」

あの頃の彼女のように。

虚しいだけの孤独な日々。

与えられる暴力も、浴びせられる罵声も、何もかも。

それこそ望みなんてまったくなくて、あえて言い表すなら“絶望”。

だけど、

「お前らはまだ間に合う…」

春輝の声は、自らに言い聞かせてるようにも聞こえた。

「……んでも、今更止められっかよ!」

総長らしき人が大声をあげた。

「…甘えんじゃねえ」

春輝はそれにも動じず、静かに言う。

「総長ならどうにかして見せろよ」

「お、れは…!」

何か言いかけたその男は、グッと言葉を呑み込み、悔しそうに顔を歪ませた。

音もなく零れた涙はキラリと光り、そのまま床へと落ち、砕けて消えた。

気づけば3人とも泣いていた。