「雅人…俺、あんな奴初めて見た…」

下っ端と一人がポツリと言う。

「…俺もだ」

「なんか……上手くいえねぇけどさ。すごく寂しい子だよな…」

“好き”なんて言葉は、人は簡単に口にできる。

それは例えば、友人や家族だったり、食べ物やお菓子だったり色々ある。

だけど、あの子は…、春輝さんはそれが分からないといった。

寂しい人なんだ。きっと。

言われた一言一言が重く感じてしまったのは、あの子が苦しんでいるからなんだと思う。

「俺……春輝さんに酷いこと言った…」

「は?何言ったんだよ?」

少なくとも披露のときには俺以外と話してないだろ?

「いや……、春輝さんが総長に連れて来られたときにさ、気味悪いって…。
たぶん聞こえていたと思う…。
俺、情けねぇな…」

それを発端に、

──…俺も言っちまったよ……。

──…俺なんか大声で…。

──…傷つけちまったかも。

下っ端たちが次々に話しだす。