それからというもの、志那は決まった時間になると南雲に一言許可を得てから蒼一の元を訪れるようになった。

彼との距離も徐々に短くなった頃、度々一人になろうとする志那に南雲は少し不信感を抱き、念のためにと釘を刺した。


「志那、本当に分かっているね? 絶対に自分勝手に誰かの為に力を使おうなんて事は……」

「分かっていますよ? 約束は守りします」


そうしていつものように志那は蒼一の元へと行く。

どんなに嫌な事があっても、この時間だけが志那にとっての唯一の楽しみでもあったからだ。

しかし、この日だけは違った。いつも通りの時間に必ずいる蒼一がいなかったのだ。


(検査とかでしょうか……それなら仕方ありませんね)


その程度にしか感じていなかった志那だったが、

十分くらい後にやってきたのは蒼一ではなく中年の女性看護師であった。