だけどそう思ったって、この勝負はまだ始まったばかり。次はあたしがシュートを打つ番だ。
雑念を振り払って、持っていたボールを打った。
――ガコンッ……シュパッ!
一度ボールはリングにぶつかって跳ね上がったけれど、そこから落下したボールは見事めでたくリングの中へ。
尚人みたいな綺麗なシュートではないけど、決まったことに変わりはない。
「……やった! 入ったー!」
嬉しさのあまりその場でピョンピョンと跳ねた。
尚人はそんなあたしを見て「子供かよ」と呆れた様子で笑っている。何が面白いのか、笑いはなかなか止まらない。
ふん、何だ!
シュートが決まって素直に喜ぶことの何が悪いんだ。
シュートを狙った通りに入れるなんて、苦手なあたしからしたらすごい奇跡なんだからね!
そうは思ったけど、あえて口にはしない。
だって馬鹿にされてるとは言え、尚人の笑顔が見られるこの瞬間は特別だから。
尚人の笑い声がおさまるタイミングを見計らって口を開いた。
「ちょっと、シュート入ったんだからあたしの質問にも答えてよね?」
「ははっ、はいはい。分かってるって。……で、質問は?」
「えーっとね……」
「考えてねぇのかよ!」
「いや、考えてあるけどどれにしようか迷っただけだから! ……えっと、そうだ。この前の期末テストの平均点教えてよ!」
「はぁ? そんなくだらねーこと聞くのかよ!」
「いいじゃーん。尚人いつも教えてくれないから気になるんだもん。それに先にくだらない質問したのは尚人なんだし、ちゃんと答えてよね!」
そこまで言うとさすがに尚人もばつが悪いみたいで、眉間にシワを寄せていた。
あたしの方が有利な立場に立ったみたいで、よっしゃと心の中で小さくガッツポーズ。



