恋心シュート!~届け、この想い~



 相変わらず綺麗なシュートに見惚れていると、尚人が得意気に笑ってみせた。


「さーて、何質問しよっかなぁ」


 謎の権利を手に入れて、尚人はとても嬉しそうというか楽しそうだ。どうやらこの勝負の真の目的は、この権利を執行することだったらしい。

 一体、何を聞かれるんだろう……。

 どうせ尚人のことだからくだらないようなことを質問してくるだろうけど、やけに胸騒ぎがして落ち着かない。

 ドキドキしながらその瞬間を待っていると、何かを閃いたらしく尚人の表情が明るくなった。


「よし、決めた。冬になると食べたくなるもの、なーんだ!」

「……は? それが、質問なわけ?」


 想像していたものとは違い、明らかに的外れな質問。拍子抜けしすぎて、思わずそう聞き返していた。

 だけど尚人はお腹の前でボールを持ったまま、極めて真面目な顔で頷く。

 ……マジかよ。
 胸騒ぎなんかして損したじゃん。

 おまけに質問っていうのかな、これ。簡単な質問のはずなのに、無駄に答えを考え込んでしまう。

 ちょっと考え込んでから、尚人が食べたいと思っていそうなものを答えた。


「……おでん、かな」


 自信のない声で言ったあと、尚人の表情を確認する。

 すると尚人はすぐに、にこっと嬉しそうに笑った。笑顔が弾け飛ぶ。


「あったりー! さすが実夏、よく分かってんじゃん」

「まぁ、うん……」


 答えは正解したけどどう喜べば良いのか分からなくて、曖昧に笑って返しておいた。

 これ、一体何のための質問なんだろう……。
 尚人の気持ちを当てるための質問なの?

 ……ダメだ、意味が分からなさすぎる。