「尚人には……、関係ないでしょっ」
「それじゃあ答えになってねぇ」
「“関係ない”も十分答えになってる!」
下を向いて、さっきの剣幕のまま喋った。本音ではないことばかりが零れる。
……違うんだ。
尚人には、あたしが小山先輩に告白されたことを気にして欲しかったんだよ。
なかなか告白の返事をしなかったのも、ちょっとでも尚人に長く気にかけて欲しかったからだ。
でもさっき先輩がいたときは、何も言ってくれなかった。先輩が去ってからもすぐに気にかけて欲しかったのに、なかなか何も言ってくれなかったじゃん。
それに、付き合うかどうかを聞いて欲しいわけじゃない。
あたしは、ただ――……。
「関係なくは、ねぇだろ。一応気になるし……」
「どうして気になるの? その理由を教えてよ」
俯いていた頭を上げて、はっきりとそう告げる。
尚人から視線は逸らさない。あたしの気持ちを届けるべきゴールをしっかり見つめたまま、もう逃げない。
「あとでちゃんとシュート決めるから、あたしの質問にも答えてよ。……ねぇ、関係なくはないって言うなら、あたし達はどんな関係? どんな関係だったら気になるの?」
そこまで言い切ると、尚人は長い溜め息をついた。
困惑しているというよりもイラついているみたいだ。
「……それ、言わなきゃ分かんねぇの?」
気だるそうに問われたことに無言のまま頷く。
分かるわけないよ。こんなにもそばにいたって分からない。
あたしが打った気持ちが尚人に届いてるのかどうかも、尚人の気持ちがどこに向かって打たれているのかも。
気持ちなんてボールみたいにしっかりとした存在じゃないんだから、言葉にしてくれなきゃ分からないんだ。



